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モルドバの料理と食文化

モルドバは国土のおよそ8割を肥沃な黒土に覆われているため農業に適していて、小麦やトウモロコシなどの穀物をはじめ、ジャガイモ、カボチャ、タマネギなどの野菜、ブドウ、リンゴ、モモ、アンズ、サクランボなどの果物の生産が盛んです。羊やヤギなどの酪農農家も多く、チーズやヨーグルトといった乳製品は国民食といえるほど消費率が高いそうです。

モルドバ料理は基本的にこれらの農産物や畜産物を原材料として使い、塩漬け食品や発酵食品、ジャムなどさまざまな保存食も作られています。市場では農家の女性たちが手作りした総菜も売られていて、レストランやホテルで提供される食事も基本的に国内の豊富な食材を使っています。

モルドバは地域によってさまざまな民族が住んでいますが、周辺国による占領や併合などが繰り返さてれきたため、ルーマニアやロシア、トルコ、ウクライナなどの食文化が融合した料理も多く見られます。ただ、ひとついえるのは、モルドバのどの地域でも、村の各家庭は代々受け継がれた伝統レシピと地元食材を使ったスローフードを楽しんでいるということです。

モルドバの代表的な伝統料理を、いくつか紹介しましょう。

【ザーマ】野菜と麺入りのチキンスープ

チキンスープに野菜や手打ち麺を入れたモルドバの代表的郷土料理であり、モルドバでは毎日のように食べられているメニュー。味付けとして麦の糠を発酵させた調味料の「ボルシゥ」を入れると、酸味が出てさらに美味しい。独特な酸味は、飲んだあとの締めの一品や二日酔いの時に最高だとか。サワークリームをかけて唐辛子を入れたり、パンをスープにつけて食べたりするのも現地流の食べ方だそうです。

【ママリーガ】トウモロコシ粉の練り物

国民食といえるトウモロコシ粉のコーンミールから作った練り物で、主食にも付け合わせにもなります。かつては水で練るのが当たり前でしたが、最近は風味が出るように牛乳を使って練ることも多いようです。豚肉の千切り炒め、ローストミート、ボルシチ、羊のチーズ、サワークリーム、ジュマリ(動物性脂かす)などと一緒に食べます。おかゆにしても美味しく、観光客にも人気があります。

【サルマーレ】肉、米、野菜をブドウやキャベツの葉で包んだもの

ブドウの葉やキャベツの葉で肉や米、野菜などの具材を包み、蒸したりオーブンで焼いたりした伝統料理。周辺国のサルマーレは基本的にキャベツが使用されていますが、モルドバはブドウの産地のためシャルドネなどブドウの葉を使うことが主流で、南部のガガウズ地方の伝統料理として有名です。トマトソース味で焼いたり、サワークリームをつけて食べたりと、楽しみ方はいろいろ。円錐の形になるように上手に包むポイントは、ブドウの葉脈の中心点からきっちりと折り込み丁寧に包んでいくことで、それなりの技術が必要といえます。ブドウの葉のサルマーレはモルドバの集まりでは欠かせない特別料理で、本来は他の肉料理と同じように湿気た古木を燃やした炭火で作るのが伝統だそうです。

【ペレメエ】野菜や肉を皮で包んで茹でる水餃子風料理

みじん切りした玉ねぎや潰したジャガイモ、豚肉などを皮で包み茹でて調理する水餃子のような料理で、形は基本的に三角形ですが小籠包のような丸型も。モチモチの皮にはチーズを練り込むこともあります。肉の代わりにサーモンを入れることもあり、バターやサワークリームをつけて食べます。茹でる時にコンソメや鶏ガラのスープで茹でると味が付き、スープも美味しいそうです。

【プラチンタ】総菜にもデザートにもなるパイ

お祭りや祝いごとなどの際にレストランや家庭の看板料理として広く食されているパイ料理で、薄い生地を焼き、時間をおいてしっとりとさせるのがコツ。中に入れる具材によって、総菜にもデザートにもなります。ミルフィーユケーキのように何層にも重ねた生地の中に、チーズをはじめ、キャベツ、カボチャ、ニンジン、タマネギといった野菜の具材をたっぷり詰め込みます。サクランボやアンズ、リンゴなどの果物を煮込んで挟み粉砂糖を振ったタイプは、デザートとしても愛されています。

【チブレク】パリパリに挙げたピロシキ風総菜

味付けした羊の挽肉やチキン、チーズ、タマネギなどを薄くのばした生地に詰めて油でパリパリに揚げた、ロシアのピロシキに似た料理。サクサクした食感で、頬張ると中からトロリとした具材が溶け出し、ワインにもぴったりだそうです。食べる前にコリアンダーリーフやパセリのみじん切りを振りかけることもあります。

【シャシリク】肉の串焼きグリル

ラムやマトン、チキン、豚肉、牛肉をサイコロ型に切り、タマネギやトマトなどの野菜と一緒に刺してグリルするポピュラーな料理。刻んだニンニクやタマネギ、ハーブ、塩や胡椒、レモン汁、ワインなどを混ぜて寝かしたタレで味付けし、炭火やオーブン、フライパンなどでじっくりと焼きます。調味料はレストランや家庭によって違い、秘伝のレシピを継承している店や家庭もあるそうです。

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