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モルドバ料理店「NOROC(ノーロック)」(前編)

オーナーの倉田さんご夫妻

モルドバ家庭料理と本場ワインを楽しめるアットホームなお店!

赤・青・黄色と3色の国旗がひときわ目立つ東京・亀有のモルドバ料理店「NOROC」は、国内で唯一とされるモルドバ料理専門店です。オーナーは倉田さんご夫妻で、モルドバ人の奥さまディアナさんがオーナーシェフを務めるアットホームな雰囲気のお店。本格的なモルドバの家庭料理と、ワイン大国のモルドバから仕入れているさまざまな希少ワインを楽しむことができます。

■夫婦で営む「NOROC」店内はモルドバ一色

亀有駅から徒歩5分の「NOROC」は、外に掲げられた国旗もさることながら、一歩店内に入ると壁掛けやテーブルクロス、クッション、民族衣装、土産物までモルドバ一色で、見回しただけで思わず心が躍ります。イベントや新メニューなどの情報は「NOROC」のブログやフェイスブックなどのSNSでも頻繁に発信され、最近は新聞・雑誌やテレビでも取り上げられる機会が増えました。

「NOROC」は、2015年に都内・神楽坂に開館したモルドバ大使館よりも約1年早い2014年にオープン。経営するのは倉田昌明さんとディアナさん夫妻で、料理はすべてディアナさんが一人で作っています。店内の売店コーナーではモルドバから輸入したワインや蜂蜜、ジャムをはじめ、ディアナさんの料理を冷凍したものや、倉田さんがデザインしたNOROCオリジナルのTシャツやキャップが販売されています。

■店舗オープン後に開館した大使館がさまざまな支援

ディアナさんは2014年にモルドバから来日し、その後倉田さんの友人が開いた集まりで2人は知り合いました。結婚後、ディアナさんは2人のお子さんの子育てをする専業主婦でしたが、お母さんがモルドバではプロのコックだったこともあって、もともと自分も料理好き。テレビで日本の料理番組をよく観て、モルドバには存在しない日本蕎麦の出汁などさまざまなソース(調味料)に感嘆したものの、これだけ食が盛んな日本にもモルドバ料理店がないことに気づいたそうです。

さらに、集まりが好きなのでよく自宅に友人やママ友などを呼んで料理を振舞っていたところ、「美味しいからもっと作って多くの人に食べてもらえるといいのに」とたびたび言われました。「日本にはモルドバ料理店はないようだが、モルドバ料理もワインもこんなに美味しいうえに、それぞれにストーリーもある」。夫婦でそう話しているうちに、「じゃあ一緒にモルドバ料理店をやろうか」と思ったのがきっかけでした。

ただその頃はまだモルドバ大使館もなく、日本ではモルドバを知っている人もほとんどいない状態。「NOROC」を知ってもらいたくてもまだSNSといったPR手段もほぼなく、お店が軌道に乗るまではかなり大変だったそうです。

その後大使館がオープンしてからは、ホテルオークラのイベントやナショナル麻布スーパーマーケットへの出品・出店などさまざまな形で応援してもらい、次第に認知度が上がっていきました。確かに、以前大使館に取材に行った時には「NOROC」の名刺を書記官自らが来訪者に「ぜひ」と配っていて、私たちスタッフも頂きました。このように大使館経由で来店する人も多く、現大使と前大使もたびたび飲食に訪れてくれています。

また、日本に在住して「Kory Moldova」の名称でYouTubeチャンネルを展開するモルドバ人の人気ユーチューバー、コリーさんなども訪れ、SNSで「NOROC」の魅力を発信してくれています。

■料理好きな祖母や母から受け継いだ素朴な家庭料理

ディアナさんは「NOROC」で出す料理をはじめ、ホテルやスーパーに提供する商品やオンライン販売している冷凍食品などを、すべて1人で作っています。料理が得意だった祖母やコックだったお母さんから受け継いだモルドバの家庭料理で、肉料理の調味料もほぼ塩と胡椒、ニンニクだけ。素朴でシンプルな郷土料理です。お店にはモルドバでは食事に欠かせないワインも豊富にそろっていて、それぞれのメニューに合うワインをセレクトする人も多いとか。

料理を1人で作るのは大変なものの、「来店客が美味しいと褒めてくれたり、SNSでコメントを書いてくれる人がいたりと、そういった応援がやり甲斐や励みになる」と話すディアナさん。日本は調味料や食が豊富な一方で、サワークリームやニシンなどモルドバでは日常的に食べる美味しいものがあまりメジャーではないことが残念なので、「NOROC」の料理は「日本人にぜひ食べてもらいたい」と強調します。

コロナ禍の打撃により着手したオンライン販売

大使館の支援も受けて順調に運営が続いた「NOROC」ですが、2020年に入ってまもなくコロナ禍による大きな打撃を受けてしまいます。まともに店舗を開けられない日々が続く中、「何とかしなくては」との思いから着手したのがオンライン販売でした。お店のメニューからチョイスしたものをディアナさんが作って冷凍し、オーダーがあると倉田さんが包装してお店まで宅配業者に取りに来てもらうという二人三脚で展開。各種モルドバワインも扱い、注文も増えていきました。

倉田さんがデザインした「NOROC&モルドバ」のオリジナルTシャツとキャップも作り、オンラインで販売。Tシャツは好きな色を選べるように50色を用意したところ、お店に買いに来る人もいてあっという間に売り切れ、その後追加した分も完売してしまいました。Tシャツのデザインにはモルドバの象徴である国のマークが入っていますが、これを使うにはモルドバ政府の許可が必要で、大使館を通じて依頼し承諾してもらったそうです。

ちなみに、サイトやSNS、オンラインショップの運営や更新業務はすべて倉田さんが自分で手がけています。「NOROC」のことだけでなく、モルドバ大使館ともコラボして音楽やお祭りなどモルドバ文化の発信にも一役買っているのです。ディアナさんともども、まさに夫婦でフル回転しているといえるでしょう。

(後編に続く)

後編URL : https://moldova-and-japan.com/?p=1414

NOROC公式サイト : https://www.noroc2014.com/guide

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