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<モルドバの文化的・歴史的遺産>(後編)

要塞や修道院、景観保護区など貴重な文化的・歴史的遺産の見どころが満載

かつてローマ帝国をはじめモンゴルやスラブなどからの影響も受けたモルドバには、修道院や聖堂、要塞など、異文化交流や戦闘の名残りが見られる文化的・歴史的遺産が数多く残されています。

それら貴重な遺産の中から、前編に続きおすすめの見どころを紹介しましょう。

大聖堂・教会・修道院

ナステレア(キシニョフ)大聖堂
ナステレア(キシニョフ)大聖堂

1830年代に建造されたロシア正教会の大聖堂で、首都キシナウの中心街に位置します。ルーブル美術館や凱旋門、大英博物館などと同様に、18世紀後期にフランスで興った「新古典主義様式」という建築様式が用いられました。

今でこそ観光スポットとして観光客を魅了していますが、第二次世界大戦の空爆では大きな被害を受けました。さらにその後も政治的な思想を持つ人たちによって壊されるなど、時代の波を乗り越えてきたのです。

現在は、ミサがある日曜日は正教会の信者たちなどで溢れかえり、すぐそばに建つ「凱旋門(勝利の門)」とともにキシナウのシンボルとして市民から愛されています。公園の中にあり緑や花壇に囲まれているため、一帯は地元の人たちの憩いの場ともいえそうです。

聖堂の内部は撮影禁止ですが、観光客も入ることができます。金色に輝く壁や天井には聖人のフレスコ画が描かれ、見飽きることがないような美しさです。聖堂の前には鐘塔が建っています。

カウシェニ教会

カウシェニにある歴史的建造物の東方正教会で、「聖母被昇天教会」とも呼ばれています。建物の半分が地中に埋まっているように見えるのが特徴ですが、かつてこの地では馬上の兵士よりも高い建造物が禁じられていたからだと言われています。教会内壁には、中世時代の美しいフレスコ画が飾られています。

ツィポヴァ修道院

モルドバの北東部に位置しキシナウから約100Kmにあるツィポヴァ修道院は、東欧でも最大規模かつ最高美といえる岩窟修道院群です。3つの修道院から成り、教会と数個の庵を備え「十字架の昇栄」を祀る最も古い修道院は11~12世紀に建てられたとされます。「聖ニコラウス」を祀る2つ目の修道院は14世紀の建立。3つ目の最も多くの庵室を有する修道院は「聖母マリアの被昇天」を祀るもので、16~18世紀に建てられました。

修道院付近では、ニストル川の土手沿いに数キロメートルにわたり何百という古代の歴史的・文化的遺産が発見され、古代の村や町、城、教会、修道士コミュニティなどがあったことが分かっています。ソ連が支配していた時代には修道院は閉鎖されていましたが、1990年代に再開されました。

カプリアナ修道院

キシナウから約36Km離れたカプリアナ修道院は、14世紀末頃に建てられたモルドバで最古の修道院とされています。王室修道院ということで、モルドバ王室からも多くの寄贈を受けていたそうです。

当初は木造でタタール人やトルコ人によるたび重なる侵略に悩まされており、16世紀半ばに修復されましたが、ソ連時代には閉鎖されるなど苦難の道を歩みました。その後1990年代にいち早く再開した修道院の1つとして、モルドバ復活を示す象徴的存在となっています。

クルキ修道院
クルキ修道院

18世紀に建てられた「聖母マリアの誕生」を祀るクルキ修道院は、キシナウから約55Kmの緑豊かな渓谷にあります。大小100以上の教会や修道院があるモルドバの中で最も大きい修道院とされ、バロック風様式とモルドバの伝統様式を合わせた建築スタイルが目を引きます。東西南北の全方位に鐘楼を有しています。

敷地内にはキリスト隆誕を祀るナステレア大聖堂をはじめ、木造教会や夏季教会、聖ニコラス冬教会など複数の教会が建てられています。主要となるナステレア大聖堂はバロック様式で、ウクライナ・キエフの聖アンドリーイ教会の影響を受けているとされます。聖人などが描かれたレンガ色の壁が美しく、57メートルにも及ぶドームはモルドバ内で一番の高さを誇ります。

サルハナ修道院

キシナウから110Km離れ広大な敷地を持つサルハナ修道院は自然保護区に指定されていて、政府の保護下にあります。もともとは聖母マリアを祀った小さな修道院と受胎告知を祀った岩窟寺とを具現化したものでしたが、18世紀に移住し始めた修道士たちが修復しました。その後改築され、新たなフレスコ画が描かれるようになったのです。

サルハナは22の滝があることでも有名で、最も美しいとされる滝は修道院の近くにあります。高さ10メートルから流れ落ちる景観は素晴らしく、「ジプシーの穴」と呼ばれるプールのような深い滝つぼを形作っています。

ヌール・ネアムシュ修道院

ヌール・ネアムシュ修道院はモルドバ正教会の修道院で、キシナウから約105Km離れています。1860年代にコミューン(地方の小規模な生活共同体)だったチトカニ内に建てられたため、「チトカニ修道院」としても知られています。

一時はソ連により閉鎖されて病院へと用途を変えましたが、1989年に再開し正教会聖職者のためのルーマニア語学学校となりました。モルドバで最も高い55メートル以上の5層の鐘楼が見どころで、ニストル川など周囲の美しい景色を眺められます。院内はきらびやかな多くのイコン(聖母や聖人などの聖画像)で彩られています。

(前編はこちら↓)

https://moldova-and-japan.com/2022/07/13/%ef%bc%9c%e3%83%a2%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%90%e3%81%ae%e6%96%87%e5%8c%96%e7%9a%84%e3%83%bb%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e7%9a%84%e9%81%ba%e7%94%a3%ef%bc%9e%ef%bc%88%e5%89%8d%e7%b7%a8%ef%bc%89/

( 画像出典:Frimufilms – jp.freepik.com によって作成された light 写真

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