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モルドバワインの生産エリアとブドウ品種

なだらかで肥沃な土地にブドウ畑が広がる東欧のモルドバ。そこで作られるワインは国を代表する大切な産業であり、国民の“おもてなしの心”を反映させた文化でもあります。世界最古のワイン生産国といわれるモルドバワインは味や香りが濃く、力強くパワフルなのが特徴。ワインの国際的品評会では、これまでに500個以上のメダルを獲得しています。

国内に点在する150以上のワイナリーでは赤、白、ロゼ、スパークリングと年間2億リットルものワインが生産され、ブドウの種類や製造方法などによりさまざまな味が楽しめます。世界中で愛されているモルドバワインの生産エリアや、原料となるブドウ品種を紹介しましょう。

土着品種ワインとブレンドワイン

もともとモルドバワインはフェテアスカ・アルバ、フェテアスカ・レガーラ、フェテアスカ・ネアグラ、ララ・ネアグラなど国内土着品種ブドウの1種類から作られていて、色が濃いめで個性が強く、力強い味が特徴。ただ、現在では海外品種も一緒に使い、ヨーロッパ人などが好むエレガントでソフトなブレンドワインが増えています。国内外の品種を使ったブレンドワインは各モルドバワインメーカーのスキルを集大成させた豊かな味わいが強みで、土着品種ワインとともに世界50カ国以上で販売されています。

■モルドバのブドウ農園と品種

モルドバのワイン用ブドウ農園の広さは、合計で13万2000ヘクタールにものぼります。そのうち約85%をヨーロッパ産のブドウが占めていて、10%が黒海流域産のブドウ、5%が土着の国産ブドウです。これらのブドウ農園は、世界各国のユーザーニーズなどを反映させながら政府の政策に基づき、常に開発が進められています。全農園の70%は白ワイン品種(シャルドネ、アリゴテ、ルカツィテリなど)が占めていて、主に中央部のコドゥル地域で栽培。30%は赤ワイン品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワールなど)で、ヴァルル・ルイ・トラヤンなど南部地方での栽培が多いといえます。

モルドバワインの4大生産エリア

ブドウ栽培に欠かせない重要な条件といえば、生産地の土壌・気候・地形です。モルドバでもこれらの要因を考慮し、それぞれの品種に適した土地でブドウを栽培。ブドウ栽培&ワイン生産エリアは、下記のように大きく4カ所に分かれています。

*ヴァルル・ルイ・トラヤン:その昔、侵略者から国土を守っていた2つのトラヤン城壁の間に位置し、通気性がよく軽い土壌で、丘陵や平野、台地により形成されています。赤ワインの製造に長けているうえ、フェテアスカ・アルバやフェテアスカ・レガーラなどの土着品種を使用したワインの生産が有名。これらの品種で作ったワインはフルーティーでフレッシュな味わいが特徴です。

*シュテファン・ヴォダ:川沿いの台地にあり、こういった水辺の土地は特に赤ワイン品種の栽培に適した気候といわれます。芳香な香りを放つ土着品種のララ・ネアグラが有名で、モルドバで最も名高いブレンドワインである「ネーグル・デ・プルカリ」の製造に使われています。

*コドゥル:モルドバ中央部に位置し、穏やかな気候と適度な降水量に恵まれた地域。広大なブドウ畑の25%をオークとリンデンの森が占めています。フェテアスカ・アルバやマスカット・オットネル、シャルドネなどの白ワインをはじめ、高級赤ワインやスパークリングワインに使う品種の栽培にも最適なエリアです。有名なクリコバワイナリーやミレスチ・ミーチワイナリーもこのエリアにあります。

*ディヴィン:モルドバ全域を指し、ワインスピリッツ(ブランデー)の地理的表示保護制度(名称から産地や品質が特定できて生産者の利益を守る制度)に登録されています。アリゴテやフェテアスカ・アルバなどの土着品種や、国内で栽培されているヨーロッパ品種を使って作られた「ディヴィンワインスピリッツ」は、二重の蒸留過程を経てオーク樽にて最低3年間熟成。熟成が進むにつれ、ライトゴールドから琥珀色へと変化していきます。

収穫後のブドウ

モルドバの代表的な土着品種ブドウ

ヨーロッパ品種のブドウ栽培が増えてはいるものの、モルドバワインの真の個性を表現できるのはやはり力強く濃い味を持つ土着品種といえます。世界中で愛飲されているワインの原料となる、代表的な土着品種を紹介しましょう。

*フェテアスカ・アルバ:何世紀にもわたりモルドバの地で栽培されている「白い乙女」の名を持つ白ブドウで、糖度が高く甘口ワインに向きます。この品種から作られるワインはフローラルな香りとフレッシュ感が特徴で、スパークリングワインにも適しています。ハンガリーを代表するブドウ品種フルミントとの自然交雑により、フェテアスカ・レガーラという土着品種も生みだしました。

*フェテアスカ・レガーラ:1920年にトランシルヴァニア地方で初めて確認された「王家の乙女」の名称を持つ白ブドウで、ドライでフレッシュな味わいが特徴。この品種で作ったワインの多くは辛口か中辛口で、酸味がやや強く、スパークリングワインにも向きます。グレープフルーツを感じさせる味わいで、樽熟成すると優雅なアーモンドの香りが漂います。

*フェテアスカ・ネアグラ:2000年以上の歴史を持ち、南西モルドバに位置するルーマニアとの境界であるプルト川近辺に由来しています。「黒い乙女」と呼ばれる黒ブドウで、ブラックベリーやチェリーのような香りが特徴です。この品種で作られた赤ワインは、まろやかで気品あるフルーティーな味わいとなります。

*ララ・ネアグラ:ローマ帝国があったダキア時代から栽培されていたとされるモルドバの伝統的な黒ブドウで、名称は「黒い貴婦人」。辛口のやや控えめな酸味と、軽くさわやかな口当たりが特徴です。この品種で作られたワインは濃厚な香りが漂い、熟したブラックチェリーやプラムのような味わいです。

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