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おばあちゃんの鍋から始まる ~帰省のソウルフード物語~

モルドバ南部の自治地方ガガウジアには、私にとって世界で一番心にしみる一皿があります。
その名も 「スヴァンナ・マンジャ」。鶏肉と玉ねぎをじっくり煮込んだ、ガガウズ人の伝統料理です。

スヴァンナ・マンジャ

マンジャは、「煮込み料理」「家庭のシチュー」を意味する言葉(バルカン地方でも広く使われます)。
スヴァンナは、ガガウズ語では 「玉ねぎ」 の意味。さらに、トルコ語系のルーツからは「水(su)」に由来し、
「汁気のある」「ソースたっぷり」といったニュアンスも含まれています。パンを浸して食べるスタイル。

          調理室                      マリアおばあちゃん

我が家には暗黙のルールがあります。「マンジャをつくるのは、おばあちゃんだけ。」
母でさえ挑戦したことがないのです。なぜなら、家族全員が知っているからあの魔法の味はおばあちゃんにしか出せないということを。
帰省すると、おばあちゃんの大きな鍋から玉ねぎの甘い香りが立ちのぼります。焼きたてのパンでソースに浸す。
そのひと口こそが、私にとっての「おかえり」。

「鶏肉 1羽分」をおばあちゃんの裏庭にて手に入れられます。

久しぶりに会う家族と、同じテーブルを囲んで食べるスヴァンナ・マンジャ
一口ごとに懐かしさが胸に広がり、笑い声や会話が自然に弾みます。ただの料理ではなく、離れていた時間を埋めてくれる存在。おばあちゃんの鍋からよそわれたその温かさは、家族の絆そのものなのです。

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