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モルドバのワインセラー

モルドバが誇るワインづくりの背景には、何千年もの歴史があります。ワインが作られ始めたのは紀元前3000年で、ブドウに関する最初の記録は紀元前7000年まで溯ります。長い歴史を通して、ワインとブドウは文化、神話、民話といったモルドバの伝説に深く根付いています。

欧州ワインの発祥地といえる「ワイン王国」のモルドバでは年間2億リットルものワインがつくられ、観光名所ともなっている多くの有名なワイナリーがあります。観光産業発展のフックとして国を挙げてワイン産業に力を注いでおり、モルドバワインの需要は世界50カ国以上にのぼります。

国内には150以上の商業用ワイナリーがあります。その中から、多くの観光客が訪れモルドバワインを世界中に広めた名高い2つの地下ワイナリーと、国内唯一の“ワイン城”を紹介しましょう。

ミレスチ・ミーチ

ギネスにも登録された世界最長のワインギャラリー

地下セラーに150万本を超えるワインボトルを貯蔵している「ミレスチ・ミーチ」ワイナリーは、世界最大級のワインコレクションを有することで2005年にギネス記録に登録されました。地下ギャラリーの長さは世界最長の200キロメートル以上で、多くのユニークなモルドバワインが集められています。

封建時代の城をイメージさせる建築物内に石灰岩で作られた洞窟のようなワインセラーは、地下85mの深さにあって、ワインの熟成に最適な温度と湿度が保たれています。セラー内にはカベルネ、アリゴテ、フェテアスカなどブドウ品種の名前が付いた地下アベニューや街路があり、毎年訪れる2万人以上の観光客たちの見学ツアーは基本的に車で行われます。

見学後にはワインの試飲も楽しめ、モルドバワインを比較的低価格で購入できるショップも併設されています。オーク樽で少なくとも半年から数年熟成された「ヴィンテージシリーズ」や、瓶詰め後3年以上保管された「ゴールデンコレクション」など、高品質な希少ワインがそろっています。レストランもあり、モルドバの伝統料理とともにワインを楽しむことができます。

世界最大級のワイナリー
ミレスチ・ミーチ https://www.milestii-mici.md/

クリコバ

迷宮のような巨大地下都市には世界最古とされるワインも

巨大な地下都市としても有名な「クリコバ」ワイナリーは、もともと石灰岩採石場だったトンネルから成る迷宮を思わせるような場所として知られています。ここにはモルドバの歴史や考古学、ワインづくり技術などが入り混じっていて、比類のない本物の地下都市が形成されているのです。地下80メートルに位置するワイナリーには約3,000万リットルものワインが保管され、地下都市の長さは120キロメートルにも及びます。

キシナウやクリトバなどモルドバにある町の多くの建物は、ここで抽出された石灰岩を使って建てられました。石灰岩はまだ現在も切り出されているため、地下都市は成長し続けているのです。

モルドバで初めて伝統的な製法でスパークリングワインを作ったワイナリーとしても知られ、これらのワインは世界的にもトップクラスの品質ということが認められています。また、世界で最古とされる1902年製造のワイン「イースターエルサレム」が保存されています。英国王室やアンゲラ・メルケル元ドイツ首相など各国の著名人たちは、このワイナリー内に自分のワインコレクションコーナーを保有しているそうです。

ワイナリーには実際の町のように、通りや信号機、道路標識などを設置。通りにはディオニス、フェテアスカ、ソーヴィニヨンなど、保管されているワイン品種にちなんだ名前が付けられています。

地下都市内には広々とした個性的な5つの大きな試飲ホールや、ワインづくりの歴史を詳細に記述したあらゆる時代の展示品が観られる博物館、ワイン工場の歴史を描いたドキュメンタリー映画を上映する映画館なども併設。ガイド付き専用車による都市内見学をはじめ、試飲や食事もできるさまざまなパッケージツアーがあります。

巨大な地下都市を形成するワイナリー
クリコバ https://cricova.md/

キャッスルミ・ミミ

国内で唯一の“ワイン城”ではリゾートとグルメを楽しめる

「キャッスル・ミミ」ワイナリーは、モルドバでただ1つの“ワイン城”です。ベッサラビア(現在のモルドバ地域の旧称)最後の総督であるコンスタンティン・ミミが1900年前後に、西欧で習得した知識を生かしてモルドバで最初の城を建ててワイナリーとしました。1つ1つの石を丁寧に修復した城の復元工事やワイナリーへの設備投資を経て、現在ではワイナリーがある宿泊施設として観光客を迎え入れています。

世界で最も美しいワイナリーのトップ15にリストアップされていて、施設内には緑豊かな王室庭園や噴水を配置した広大なスクエアをはじめ、多目的イベントホールやワインスパ、プールなどを併設。リゾート宿泊用に、7つのシャレー風コテージもそろっています。

ワイナリーにはブドウの処理や発酵、ワインの貯蔵、瓶詰めなどのプロセスにおいて最新の設備が導入され、モルドバ内で最も近代的なワイナリーの1つといわれています。熟成に使用される樽の数は1,000を超えるなど、国内ワイナリーの中でも最大級の数を誇ります。

キャッスル・ミミの創設者を称える「プレミアムワインシリーズ」はこのワイナリーならではのもので、総督の姿が印刷されたヴィンテージデザインのボトルを使用。コンスタンティン・ミミがいた時代の紙とインクの特徴を模倣したラベルが貼られています。

レストランには地元の新鮮な食材を使った伝統料理の豊富なメニューがそろい、グルメ間ではフランスの伝統的高級料理「オートキュイジーヌ」へと進化しているとの評判も。ワインに合う美食の魅力をアピールしていて、秘伝のレシピで作られる彩りの良いオードブルソーセージ「チキンパティ」が人気だそうです。

モルドバ唯一のワイン城
キャッスル・ミミ https://www.castelmimi.md/en/

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