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モルドバの祝日とお祭り

モルドバでは学校や会社などが休みになる正式な祝日をはじめ、宗教や文化、季節に関するお祝いやお祭りの日が複数あります。お正月やクリスマス、イースターなど他国でも祝う日のほかに、過去の歴史を称える独立記念日や、女性が民族衣装を着て集う日なども。中でも最もモルドバらしいお祭りは、首都キシナウを中心に国をあげて開催する「ワイン祭り」でしょう。モルドバワインを広める目的もあり、国民だけでなく、世界各国から訪れる旅行者も一緒に楽しみます。モルドバの伝統的な祝日・お祭りをいくつか紹介します。

「Mihai Eminescu(ミハイ・エミネスク)」の詩を称える日

2月の初めの「Mihai Eminescu(ミハイ・エミネスク)の詩を称える日」は、モルドバ人ならば誰でも知っているルーマニア出身の偉大な詩人・ミハイ・エミネスクをお祝いする日です。ミハイ・エミネスクはルーマニアとモルドバで「詩聖」と称えられていて、「金星ルチャーファル」や「古代の韻による叙事詩」、風刺詩・5つの「手紙」といった作品が有名。日本のモルドバ大使館にも日本在住のモルドバ人が集まり、ミハイの詩をみんなで朗読するイベントが開かれるなど、モルドバ人の文化意識の高さがうかがえる祝日といえそうです。ルーマニアでは1月に祝うとされています。

「Martisor(マルツィショール)」のお祝い

春の訪れを祝う3月の「Martisor(マルツィショール)のお祝い」もモルドバでは必ず行われる伝統行事で、厳しい冬が去って春が来た喜びと生命の再生を祝うものです。春を象徴する女神が冬を象徴する悪い魔女と戦って勝利を収めると、春が訪れるという民話に基づく伝統行事。幸運をもたらしてくれる赤と白の紐で作った装飾品のマルツィショールを、友達や先生など仲がよい人に贈る習わしがあります。いくつかの地域ではマルツィショールを3月中ずっと身に着けていて、その後は果物の木の枝にくくり付けると、その家に富や幸福がもたらされると言われています。

イースター(復活祭)

イエス・キリストの復活を祝うイースターは4月の日曜日(毎年変動する)で、年によっては5月にずれ込むこともあります。正教会ではイースターはヘブライ語に由来する「パスパ」という名称で呼ばれ、ルーマニア正教の一番重要な祭日です。

モルドバでは家族や親戚が集まって食事するのが一般的で、まずはルーマニア語で「乾杯」や「幸運」を意味する「ノロク!」と叫んでワインで乾杯。赤く染めたりペインティングしたりで有名なイースターエッグやラムのステーキ、モルドバ風ロールキャベツのサルマーレ、パンのような焼き菓子のパスカといった伝統料理で祝います。みんなでイースターエッグをぶつけ合い、最後までヒビが入らなかった人がその年は幸運という言い伝えがあります。モルドバのイースターエッグはペインティングやデコレーションが芸術的で、今やアート作品へと進化しています。イースターの礼拝はモルドバ全土の教会で、真夜中から特別な儀式として行われます。教会には大勢の人々が集まるため、中に入るには早い時間から行く必要があります。教会に料理を持参し、そこでみんなで食べながら神様から力をもらうという祝い方もモルドバではメジャーなようです。

民族衣装「イエ」の日

6月にある「イエの日」は、さまざまなモチーフを刺しゅうした「イエ」というブラウスやベストなどの民族衣装を着て集まる日とされています。基本形は胸元に刺しゅうが川の字に入り、腕には複雑なモチーフの刺しゅうが施されている衣装で、モルドバの女性の多くはこの刺しゅう技術を身に付けているそうです。

イエはモルドバの伝統文化であり、お祭りなどハレの日に着用する服であるとともに日常着でもあります。祝い事や教会に行く際に着る伝統的なイエは高価ですが、比較的安価なものは日常的なファッションとして親しまれています。軽くて着心地がよいため、イエのブラウスを職場で仕事着のスカートなどと組み合わせる女性も多いとか。日本の着物のように、母親から譲り受けることも一般的だそうです。

クリスマスやマルツィショールのお祝いなど日本のモルドバ大使館でたびたび開かれるイベントでは、大使館のスタッフをはじめモルドバ人や日本人の参加者たちの多くがイエを着て集います。大使館が制作するメッセージビデオには、華やかなイエを着用した女性たちが歌ったりパンフルートを演奏したりしながら散策する姿が登場します。


独立記念日

モルドバは1991年8月27日に、ソビエト連邦から独立しました。独立記念日は8月27日に定められていて、首都キシナウを中心に毎年盛大に祝われ、学校をはじめ多くの企業や商店が休みとなります。

独立記念日の公式行事はキシナウの歴史的モニュメントに献花し、過去の歴史を称えることから始まります。大統領が国民に向けて演説を行い、キシナウ中心地にある国民議会広場では盛大なパレードが催されます。色とりどりの刺繍が施されたモルドバの民族衣装「イエ」を着た人たちが集まり、結婚式のお祝いや祭りで人気がある「ホラ」と呼ばれる伝統的な民族舞踊が披露されます。

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