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伝統的な民族衣装や手芸品・工芸品

モルドバでは昔からブラウスなどの衣装の飾りや部屋のインテリア装飾に、手作りの刺繍が用いられてきました。嫁入り道具として女性たちが製作していたもので、親から受け継いだその地域ならではのモチーフに加え、自ら考案したデザインを使いさまざまな美しい品を生み出しています。現在でもこれらの刺しゅう作品は民族のアイデンティティーを引き継ぐ大切な文化として、モルドバの人たちに愛されています。また、手で織った天然カーペット作りも歴史が古く、地方では女性の仕事として根付いています。

民族衣装イエ

モルドバでは、胸元や袖にさまざまなモチーフを刺しゅうした「イエ(IE)」という伝統的なブラウスが有名です。基本形は胸元に刺しゅうが川の字に入り、腕には「アルティザ」という複雑な刺しゅうが施されています。モチーフの主体は幾何学模様や花柄で、ビーズを縫い付ける場合もあります。特に袖の刺しゅうは地域によってモチーフや色合いが変わるため、イエを見れば着用している女性の出身地域がわかると言われています。
民族のアイデンティティーを代表するイエは、お祭りやお祝い事などの日に着る習慣があります。ルーマニアやモルドバでは、現在も芸術的な手仕事といえるイエの刺しゅう技術を身に付けている女性が多いとか。6月24日が「イエの日」に定められていて、日本ではモルドバ大使館とルーマニア大使館の共同プロジェクトとして、「両国共通民族衣装イエデジタルパレード」も開かれています。両国は一緒になって、イエの世界遺産登録を目指しているそうです。

タペストリーやクロス

刺しゅうやレースで装飾された華やかなタペストリーやクッション、テーブルクロス、ベッドカバーなども、伝統的な手芸品として愛されています。中でもタペストリーは「プロソープ」と呼ばれていて、手が込んだ細かい刺しゅうやレース編みが施され、芸術作品といえるようなものが見られます。
モチーフには幾何学模様をはじめ、ユリやヒマワリといったモルドバで咲く花が多く用いられ、中にはモルドバ国の象徴とされる「生命の木」を模様にしたものも。この「生命の木」は国を紹介するパンフレットや観光ガイドなどには必ず載っているモチーフで、果物や野菜、ワイン、おもてなし、民話などモルドバを代表する観光産業のアイコンが伝統的な規則にのっとって並べられているのです。

カーペット

織物も伝統工芸品として知られており、中でも主に女性たちが織る伝統的なカーペットの評価は高く、その技術は 2016 年に国連の世界無形文化遺産に登録されたほどです。デザインの多くは織り手の女性たちが生み出してきたもので、正方形やひし形、星、多角形などの幾何学模様や、花、植物、果物、鳥などさまざまなモチーフがあしらわれています。
カーペットの材料は天然の羊毛で、地元にある木の実から染料を作って羊毛の糸を染めて織り上げます。そのため時間がかかり、時には1枚の完成まで数年に及ぶという繊細で根気が要る作業です。芸術作品ともいえるようなものですが、手をかけだけあって色あせせず、汚れに強くて形も変わりにくいと評判です。

その他

古代からモルドバでは陶芸やイースターエッグ細工、木工、陶芸、金属加工など、多様な民衆芸術が盛んでした。キシナウの市場などでは、こういったさまざまな土産品が販売されています。

*マルジネア陶器
北部モルドバで伝承されてきた色が黒くツヤのある陶器で、何の着色もせずに焼く時のススだけで黒くするのが特徴。ろくろを使った粘土の調製や処理をはじめ伝統的な手法を用いた後、窯で焼くというプロセスで完成します。紀元前ゲト・ダチア人が黒陶器を製造していた時代の文化・技術を受け継ぎ、12~15世紀の間に発展しました。現在に至るまでの300年間ずっと手作りで作られています。

*マトリョーシカ
旧ソ連領ということで、さまざまなマトリョーシカも作られています。どれもカラフルで、やや大ぶりな品が多いようです。

*イースターエッグ細工
手先が器用なモルドバの人は卵にさまざまなデコレーションを施し、芸術的ともいえるイースターエッグへと進化させました。マルジネア陶器で作られた専用容器の中にイースターエッグを収納した製品も、陶器の工房などで土産品として販売されています。

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